居心地良い老人ホームに
居心地良い老人ホームに
施設の母を見舞っても、歩くことが許されない介護の現実を目のあたりにすることは予想外だったので、気分が落ち込み憂鬱な日々が過ぎていった。
認知症が進み、本格的に母の介護が始まった5年前から、私の身体はこれまでになかった様々な症状を発症していた。円形脱毛症・味覚障害・気管支ぜんそく・めまい・嘔吐などで、医師から「ストレスが原因だと思う」と言われた。文章を書くことも出来なくなり、これもストレスからと思われた。
介護施設へ母を入所させた後、私の体調が改善されるかと期待していたが、施設での介護実態を知り新たなストレスで、以前にも増して体調を崩してしまった。咳が止まらなくなり入院したり、めまいと嘔吐で救急車のお世話になったりと、何とも情けない有様であった。
このままでは何も変わらないと一念発起して、施設トップとの面談で「入居者が自由に立つたり歩いたりするのを禁止する行為は、何事にも意欲をなくする事に繋がり、高齢者の人権を無視する介護スタッフの対応に心が痛む」と訴えた。また書面での介護実態調査でも、思いを訴えた。
その後施設から、私が母にリハビリを施すのを許可する旨の連絡があった。施設側も、母が歩ける様になる事を私が強く望んでいることを考慮し、母のリハビリに力を入れてくれた。そのおかげで、間もなく歩行器を卒業しシルバーカーを使って歩けるようになり、杖で歩く事も可能になった。
その結果、私と外での散歩を楽しめるようになり、食事やコンサートにも連れていけるようになったので、母の表情が生き生きとしてきた。母が施設に入居してから一年を経過した現在は、介護スタッフの言動が以前と違ってきたし、部屋や廊下を歩く入居者の姿も見かけるようになり、施設全体の雰囲気が明るくなってきた様に感じる。
シェルスタイルはこの2年間「開店休業中」という非常事態が続いていたが、母の環境が変化してきたので私の精神状態も良くなり、歩行困難を改善する「シェルマジック」の情報を発信することが出来るようになった。